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2014年05月21日(水)

まだ「国立競技場」

伊東氏が「建て替えせずに改修」案を今出したことに対して、理解に苦しみます。またそれを、中沢新一氏が、伊東氏に依頼しておいて「伊東氏がこのコンペに応募して落ちたことを知らなかった」という発言も、理解できないどころか、驚きです。お二人がお考えになっていることは、やはり私には理解できません? 伊東氏は建築界には大変影響力の大きい方だし、中沢氏もたびたびマスコミや世間を騒がせる有名な方です。「7月の解体工事をストップさせよう」という目的はきっと「国民的な盛り上がり」で実現させるのでしょう。そうすれば国も都もJSCも「これはいかん。やはり見直そう」と、改修案が実現するのでしょう、きっと。私は以前にもその運動をしているグループに、現実を考えれば無理で愚かな事と言いましたが、私の予想など宝くじより当たらないでしょうから、きっと「国立競技場の解体の中止」は実現するのでしょう、きっと。私の発言など、首都高速を走りながら窓を閉めて叫ぶようなもの、隣の車にも聞こえない無駄なこと。しかしこの小さな「コラム」を読んで下さる方々は私の発言をきっと理解して下さることだと信じて一言言わせてください。

私は建築家の姿勢を大切にしたいと思っているのです。なかなか出来ないことなのですが、優秀な方々、建築家のリーダーであり鏡のような存在の方は、依頼された仕事を、その内容を吟味検討して、発注され引き受ける時点で助言や提案をしなければいけないのではないか。そしてそれがまったく受け入れられない場合、仕事を断るべきではないか。断るという話では、前のオリンピックの時、「武道館」の指名コンペで、前川国男が指名から降りたのは有名な話ですが、案の定ふたを開けてみたら、ブラックな事実が次々に出てきました。前川国男は条件や要綱に不満を持って降りたのだと思います。

今回の「新国立」のコンペはブラックな点があったとは思いません。計画自体の内容の問題が後になって批判されているのだと思います。しかし私が言いたいのは、要綱が発表されてコンペが開始された時点で、それを知る立場にあった方が、なぜその時点で大騒ぎなさらなかったのか。後になって、その時出した提案とまったく違う内容を出すと言うのは、その間何があったのか?何が変わったのか?そのことを明快に説明して、新しい案を主張すべきでしょう。そうしないと、建築家は所詮その時その時の「施主の言いなり」というレッテルを世間に貼られてしまわないか。後出しジャンケンもいけませんが、ジャンケンが終わったのに、また戻ってきて「一人ジャンケン」も何をしているのかわかりません。



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