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2014年08月08日(金)

忘れられないひとこと・シリーズ 4

吉阪隆正先生が学生を引率してインド旅行をされたとき、私は学生ではありませんでしたが強引に参加させてもらいました。行く先々で、建築家の出迎えを受け、先生は世界的に有名な建築家だということを実感しました。しかも振る舞いを見て国際人とはこういうものだと学びました。そして、ある古城で、10メートルくらい下に乞食の親子がいて、子供に寝かせて汚い毛布をかけ、親が蛇つかいのような笛を吹く。すると子供が宙に浮く。そういう他愛もない芸を見せて上から観光客に銭を投げてもらう、というところがありました。バカバカしいけれども初めてのインド旅行の興奮も手伝って、学生たちは囃しながらコインを投げました。下の親子も学生の団体が投げてくれるので、きょうはたっぷり食えるぞと思ったに違いない。すると吉阪先生が怒鳴りました。「お金をひとに投げて渡すものではない!!」学生はびっくりして止めました。もっとびっくりしたのは下の親子です。急に降ってこなくなったのです。上で何が起こったのか知る由もない。私は、夕食の稼ぎだけを考えて物乞いする乞食の親の顔が、「お金を投げて渡すものではない」と一緒に忘れられません。


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