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2014年08月14日(木)

忘れられない一言・シリーズ5

清家清先生の晩年、お話を伺うことがあって一人でお会いしました。相変わらずユーモアと洒落で、私を煙に巻きながら、終わってお暇しようとする私に、「あなたは東海大学で教えていましたね。「建物」を教えてはいけませんよ。「建築を教えなくてはダメですよ」と真顔でおっしゃいました。私は「有難うございました」と御挨拶し引き下がりました。勿論それから私が大学を辞めるまでずっとこの一言は守ってきたつもりです。しかし近年、もし先生がご存命ならもう一度お会いして、お考えを確かめたいと思うようになりました。それは、学生が卒業して就職するとき、「建築」を作っている就職先が極めて少ないこと。それでも志を押さえて耐え、やがて独立して仕事をしようとすると「建築」の出来る施主とのめぐりあわせが極めて稀な事(それでもあれば良い方です)。結局食っていけないで、「建物」をつくる。私は、もうこれは別物である、と分けて両立(自立)させるべきではないかと考えるようになりました。そうしないと、「建築」を目指して現実「建物」を作るコンプレックスを一生抱いて終わることになる。先生、どうお考えでしょうか?と。


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