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2014年12月19日(金)

「保存運動」よりすることがある

黒川紀章の事務所は負債12億で倒産したようです。我々蟻んこのようなアトリエ事務所にとっては天文学的数字なので、正確で詳細な事情も理由も分かりませんが、直接そのこととはズレますが一言。おりしも彼の代表作の一つ「中銀マンション」の保存の要望書を学会や家協会が出していたそうです。メタボリズムの代表的な作品で国際的にも有名だからとか。私、保存運動の話を聞くたびに、なんと建築家や建築史家は浮世離れしたノー天気な人種なのかとため息が出るのです。資本主義社会でそんな純粋な文化論が通用するはずがない、と思いませんか?採算が合わなければ、倒産してまで残そうとする資本家や企業家がいるはずがない。それよりあまりそんなことでもめていると、今に有名建築家に頼んで有名な建築を作ってもらうと、後で壊せなくなるから適当にゼネコンで建てておこうということになりはしないか、心配です。ではどうすれば良いか。優れた建築は、資本主義で言う「金の価値」より別の「付加価値」があって、それを所有しておく方が何倍もの「金の価値」に結びつく、という文化を根付かせることです。つまり竹中工務店が建てたビルより、妹島さんが建てたビルの方が家賃が何倍も取れる、と言うようになれば、有名な建築を壊さなくなります。素人で「中銀マンション」が黒川紀章の作品だと知っている人がいますか?「メタボリズム」なんて知っている人がいますか?それを一般のひとにも知らしめて有名にするのです。先ず第一歩は、「はとバス」など東京観光のバスの説明で、必ず設計者の名前を言わせることです。NYでは「シーグラムビル」まで言っていました。学会や家協会はそれを文科省に要望すべきです。「はとバスで建物の説明をする時は建築家の名前を必ず言うようにすること」と。そうやって建築や建築家をブランドにすることです。そうすれば「付加価値」が金に結びつき、資本家や企業家は壊さなくなります。


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