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2015年10月13日(火)

専門家と一般のひと

このコラムを建築専門外の方も読んで下さるようで嬉しく思います。ただ、「新国立競技場」の話など分かり難いと言われ反省しています。つい、建築関係の方を意識するもので、もっと丁寧に書かねばならないようです。(もっともゲンさんなんか、専門でも分かっちゃいないので、専門なら分かるというものでもないのです。)

 私はもっと文章をきちっと書きたいので、文章の基本を教えてくれる講座に参加して通信教育を受けています。そこではまず徹底して「起承転結」を仕込まれています。苦手です。「結」から始めてもいいじゃあないかと反抗する悪い生徒ですが、私の文は句点までが長すぎるという指摘は守るようにしています。

 それでその講座で、先日「職人」という題が出されて、私の「チキンハウス」という本にも書いたレンガ積み職人の話を書きました。うちのレンガを白く塗った話です。レンガに何故ペンキを塗ったかという、私の建築哲学でもある大切な話です。得意になって書きました。「チキンハウス」でこの話を読んでくれた建築家たちはみんな面白がってくれたと思っています。

ところが「数日たって、やっぱり塗ろうと決心した。苦痛にゆがんだ爺さんの顔にペンキを塗る思いで塗った」という得意のクライマックスのところに、その講座の先生の赤ボールペンで「ペンキを塗ったのはその職人ですか?」と書いてある。「レンガ積み職人がペンキ塗るはずないだろ!!!」と怒鳴りたくなりました。そんな話じゃないんだよ。なんにもわかってないんだな、とその時一般の人と専門家との違いをつくづく感じました。

次年度の月謝はまだ払っていません。考え中ですが、これからは村上春樹の文体を学ぼうかと思っています。あの人のように中身は深くて重いのに、文は反比例するように軽くてなめらかです。もっとも、彼は音楽の耳も抜群に良いので、ますますコンプレックスに苦しみますかねえ。


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