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2016年03月03日(木)

吉阪隆正先生・つづき

 八王子の「セミナーハウス」のシンポジュウムは、吉阪隆正先生の没後何年かの記念セミナーのようでした。

もっぱら話題は先生のことや、その仲間たちの話で盛り上がりました。

 先生のご自宅に雨の日に訪ねたら、奥様が家の中で傘をさしていらっしゃった、とか、「象」の富田玲子さんは水平ということにこだわって傾斜勾配をきらい、「窓台の水切りをどうしても水平にすると言って困った」、と樋口さん。すると横から富田さんは「屋根勾配も水平にしなきゃ」と平然とおっしゃる。

 私は、ちょうどそのころ(50年前)、竹中の設計部で「屋根勾配は、百分の一は駄目で、すべて五十分の一以上にすること」という通達が「社外秘」の印が押されて廻ってきたのを覚えています。

 また吉阪先生に、処女作「ビラクーペ」を見ていただいた時、「柱と壁がぶつかるところに問題があるね」と言われたので、「そうなんです。あそこから雨が漏りまして」というと「そんな問題ではない」と叱るように遮られました。私は「そうか、建築にとっては雨漏りなんか問題ではないんだ」と心に刻みました。

 その一件を私の「住宅半世紀・半生記・反省記」に書いたら、本のスポンサー側の担当者に、「ここは施主に読ますわけにはいかない、変えてくれ」と言われて、「雨漏りなんか問題ではないんだ!」の言葉は削除しました。

 「八王子」には、別世界があったという話。心が動揺してうまくかけません。ここで止めときます。


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