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2016年05月30日(月)

倉敷・大原美術館

倉敷の「大原美術館」にあるルオーの「泣く王」の絵がもう一度どうしても見ておきたくなって行ってきました。どうして王が泣くのかも気になったので。中学生の時、東京の美術館で「大原美術館の泰西名画」展があって、本物に初めて触れた衝撃が忘れられません。

しかし記憶違いでした。倉敷にあったのは「呪われた王」でした。別の機会に観たものと混同したのかもしれません。あるいはそんな絵は無いのかも知れません。ルオーは道化師やキリストや王の顔を描いていて、私にはどれも同じように見えるので、混同しているのかもしれません。

それはともあれ、観ている時に、ときどき中学生や高校生の一団が通り過ぎます。そう、全然絵には興味が無く、ただザワザワと通り過ぎるのです。通り過ぎた後の静けさは不思議な雰囲気になります。

先生は何のために連れてくるんだろう?と不思議に思います。地元の生徒か?あるいは地方から来たのか?美術館側も団体お断りにすればいいのでしょうが、団体の入場料もけっこうバカにならない。商売商売。

「商売繁盛」の京都会館を思い出しながら、午後に、あの懐かしい丹下健三の「倉敷市庁舎」に何十年ぶりかで再訪しました。近くまで行って、アレ、無くなった? とよく見ると、前面の広場が細い道1本を残して駐車場になっています。しかも別棟がその広場に建てられて、市庁舎につながっています。前面からずどんとぶつかって塞いでいるのです。しかもそれは鉄板勾配屋根の臨時仮設建築のような、調和も何もあったもんじゃあない。ヒドイのひとことです。

そこでふと、さっき展示場で絵には関心なく通り過ぎていった高校生を思い出しました。ここに駐車場を作り、形態も何も考えずに正面からぶつけて増築をした役人たちは、きっと何十年か前に、ザワザワと展示場を通り過ぎていった一団に違いない。そしてさっきざわざわと絵を一瞥もせずに通り過ぎて行った高校生は、やがて丹下の市庁舎を不便になったからとぶっ壊し、キンダイテキなビルジングに建てなおすに違いないと思いました。

倉敷には街並みをそのまま残そうと一部「美観地区」を定めています。「美観地区」とはわざとらしい。ナーニ、それだって「観光」で稼ぐのが目的ですよ。商売商売! そういえば、上野のコルビュジェ建築「世界遺産」だって、一番喜んでいるのは地元商店街ですからね。 商売最優先の日本にいつなったのか? 「泣く日本?」いや「呪われた日本?」



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