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2016年05月30日(月)

セコイ商売

 電話がかかってきて「自社ビルや工場を建てたいというお客さんがいるんですが、そういう仕事は引き受けていただけますか?」と言います。そういう電話は時々かかってきて、要するに「設計あっせん業」で、会員にならせてマージンを取るというもので、相手にしていません。そう言って断ると、うちはそんなんじゃあない。仕事からは紹介料やマージンは一切取りません。他の目的のコンサルタント業で、その中のお客さんに時々建てたいという人がいるんですと言います。「今現在具体的な要望があるんですか?それならお話は伺います。どこにお建てになりたい方ですか?」と言うと、「とりあえず工場付きで一軒あるんですが、その方の詳細を電話で話すわけにはいかないから行くといいます。

 イナミ君が先日立派な工場をやったばかりなので、一緒に立ち会ってくれと頼み、その営業の人を待ちました。

 営業クンがやってきたので、「どうしてうちに依頼しようと思ったのですか?」「私は神奈川担当で、若い方は幾らでもいますが、顧客に紹介するときは、やはりご経験のある方で、ご年配のかたの方が信頼できるもんで」と言います。「ほんとうに枯れてくると、そんなウソ見抜けるんだよ」と言おうとしましたが、ここは相手のペースに乗ることにしました。

営業クンは自分たちがどんなコンサルタント業か説明しますが、私はそんなことには関心がなく、とにかく「具体的な施主の情報を見せてくれ」と言うと、江戸川区かどこからしく、5階建て、一階は店舗と横に作業場、2,3階賃貸、4、5階オーナーの住まいと、具体的な内容をタブレットを見ながら話します。もっともらしいので、「ではとにかく会わせてくれ」というと、こういうことには交通費など諸経費がかかるから、4,800円の経費を請求させてくれと言います。イヤに細かい数字で、ちょっとおかしいなと思いましたが、「総工事費の%でなくていいの?そんな金でどうするの?」と聞くと、毎月くれといいます。「やっぱり来たか」、と思いましたが、4,800円なら、1年無駄にしても大したことはない、会ってみようと思い、「では都合の良い日をセットして下さい」、というと、「相手の人と打ち合わせてご連絡します」と言って帰りました。

 私もイナミ君も、これまで地獄も修羅場も経験してきているので、二人とも途中からピンときましたが、乗ったふりをしていました。心の中で「でも私のような客を1,000社抱えれば毎月480万だよな、悪くないな」と計算していました。毎月4,800円で(この額の設定がなんとも上手い)、仕事が来るかもしれないと思って払う人は幾らでもいるでしょう。

 案の定、1週間たちますが音沙汰ありません。

私たちに見抜かれたということを見抜いたのは大したもんです。しかし「そういうことをやって稼ぐ人生をセコイって言うんだよ」と教えてやり損ないました。


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