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2017年02月15日(水)

ドトールコーヒー

 世の中の空気がすっかり読めなくなりました。

 昔、本を書いていたころ、若い人はよく読んでくれました。最近になって「先生の本、読みましたよ。僕が買った建築の最初の本です」なんて言われると、優秀な建築家になったのが私の本を読んだからではなくても、とても嬉しい一言ですが、最近は売れません。

去年出した「家を建てるならデザインビルドで」という本、売れていません。

 この本では「値切るだけ値切って、良い家の建つはずがない」とか「入札なんて裏じゃあ談合が当たり前」とか「工務店からもらう仕事で生きている建築家にロクな奴はいない」とか、「工務店に群がる建築家たち」とか、そういった内容のことを書いて、じゃあ何処に頼めば良いか、新しいシステムの受け皿を作って待っていましたが、一件も来ませんでした。建築家からも何にも反応がありまあせん。

 要するに「施主」も建築家も読んでいないのです。

 友人と先日飲んでいて、彼の友達が書いた本が売れているという話を聞きました。それは「なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか」とか、あの「成城石井」のことも「何故安くないのに選ばれるのか?」というようなことが書いてある本だそうです。

 「ドトール」の本をもらったので読んでみると、なんでこんな本を読むのか?ますます世の中が読めなくなりました。

 この本ははじめコーヒーの店でも開く人のハウツーものかと思ったら、どうやら違いました。ただの読み物です。なんでこんなことに、ひとは興味があるのか?

「ドトールのコーヒーは熱風焙煎でなく直火焙煎にうまさの秘訣がある。」―――という項目を読んでも、私はただ、あそう・・・おいしけりゃあどうだっていいじゃあないですか・・・と思うだけ。

「 出されるフードの味が良い」―――という項目だって、私はただ、あそう・・・おいしけりゃどうだっていいじゃあないですか・・・と思うだけ。

 あとは創業者や二代目の苦労などが書いてありますが、まあそれは立身出世物語として、よくあるものです。私には格別の意味はありません。それなのに、この本何故売れるのか?何万部も。「デザインビルド」と桁が違います。「デザインビルド」は役に立つのに・・・世の中の空気が読めなくなりました。


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