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2017年09月16日(土)

住宅保証期間の延長

詳しい情報が無いので分かりませんが、聞くところによると、住宅の「保証期間」が延期されるとのこと。これ、大変な事ですよ。正確な情報教えてください。

 消費者にとっては、10年の保証期間が20年になれば良いに決まっていますが、建築家にとっては一大事です。雨漏りやクラック、腐食は経年で次第に広がったり進むのは当然のこと。だから、もしその年数を今より延ばすなら、それだけ耐候性に金をかけて守らねばなりません。だから建築費、設計料も値上げしなければなりません。

 大手の住宅会社(ハウスメーカー)は当然手を打ち始めているでしょう。しかし、わが応援する「個別零細の、意欲に燃える若手建築家」は気にも止めないで、楽観しているのではないでしょうか? 私には、苦労する暗黒が目の前に見える気がします。

 私たちは、施主「性善説」に立って、先輩作家たちに憧れて作品を作ってきました。しかし、そんなハッピーな施主ばかりとは限りません。まともな感覚を持った施主の方がずっと多いのです。ずっと数が多いことを「まとも」と言います。途中でそれに気づいて泣いても遅いのです。

 話は変わりますが、近代美術館でやっている「日本の家」展に合わせて出版された「新建築社」の「日本の家・THE JAPANESE HOUSE」、ご覧になりましたか? 表紙が凄いですよ。自爆テロに会って、全てを破壊されて、家財道具も失った。やっと瓦礫の片隅に居場所を作って、拾い集めた不揃いなイスとテーブルで呆然としているお父さんの横で、事の重大さが分からずに、照明もなく、差し込む光で本に読み更ける少女、そんな写真に見えます。でかいテレビと巨大なソファ。アイランドキッチンとシャンデリア、その対極の図なのでしょう。

 こういう写真に建築作家は興奮ししびれるのです。私もこの基礎を掘り起こしたようなコンクリートの壁は、頬ずりしたくなるほど好きです。しかし、「まともな人」には、まったく分かりません。

 この本の本文にだって、「現代さざえ堂」みたいな家があります。二重らせんの階段の防水がどうなっているのか知りませんが、もし雨漏りしていなかったら、私の「一級建築士免許証」すぐ破り捨てます。

 私は、この構想能力を褒める前に、ハッピーで「まとも」でない施主と付き合う能力に拍手を贈ります。「住吉の長屋」みたいに。

 話を戻しますと、世の中99%は「まとも」なひとです。「保証期間」を延長するなら、絶対に建築費の値上げを家協会や事務所協会を通じて訴えなければダメです。「日本の家」のような家を理解し喜んでくれる「まともでない」ハッピーな施主なんて、探すの至難の業ですよ。


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