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2017年10月21日(土)

コルビュジェとアイリーン /追憶のヴィラ

「見なければよかった」というのはいかにも女々しい言い方なので、せいぜい「見ない方がよかった」と云わせてください。あのコルビュジェとアイリーンの「追憶のヴィラ」です

 渋谷のBunkamuraに行きました。個人的なことですが、コルは高校の時「国立西洋美術館」をつくるため日本に来て、それで憧れて建築家になろうと決めたのです。そのコルの裸なんか見たくありませんでした。アイリーンの才能に嫉妬した? そんな話聞きたくもありません。

第一、アイリーンが設計したコートダジュールの「白亜のヴィラ」、「近代建築の5原則」を具現化したと解説にありますが、本当ですか? 映画で見る限りピロティも無ければロングウィンドウもない。自由なファサードもない。もしかしたら一階が一部外部に開放されていたのかもしれませんが、「近代建築の5原則」の具現化なら「サボワ邸」とは比べ物にならない。嫉妬したなど考えられない。

 「屋上庭園」だけは作ったようで、「あれではダメだ」というコルと言い争うシーンがありましたが、コルの「屋上庭園」とはまったく意味がちがいます。

 私の興味があったのは、コルが描いた壁画と、カップマルタンの海から泳ぎだしていくシーン。私はコルの自殺説を信じているので、あの泳ぎは胸が締め付けられました。

 ついでに、たしか映画の中で2回、「近代建築の5原則」という言葉が出てきましたが、ちょっと違和感をおぼえました。編集者のK氏があるとき、この言葉自体訳が違うと教えてくれたのです。「新しい建築の5つの要点」と訳すのが妥当らしいのですが、日本ではシンボル的に「近代建築の5原則」と使われていて、それもこの映画で出てくるのはちょっとまずいのではないかと思うようになったのです。その話はまたいずれゆっくりと。


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