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2018年10月25日(木)

仕事の思い出:2

私が自分で初めて設計したのは、妙高高原に建つ母校の夏の寮でした。

その竣工パーティーに来られた近くのホテルの社長に「爽やかで気に入りました。実はこの近くに別荘を建てようと思って黒川紀章さんに頼んだら、自分の作品を作ろうと、遊ばれたんです。あまりにも奇抜で、腹がたってお断りしました」と言います。黒川紀章は当時一躍脚光を浴びるようになって建築界に躍り出たスーパースターでした。

「私も自分の作品を作ります」と言おうとしましたが、黙って引き受けました。

自分では思い切り吹っ飛んだつもりで、その辺にはない創造的な別荘をつくりました。

完成したら、「新潟日報」で特集されたり、NHKの地方便りで紹介されたり、日本の雑誌は勿論、フランスの有名な専門誌にも掲載されたり、スイスで賞を取ったり、文字通り私のデビュー作となりました。

こんな吹っ飛んだ建築を認めてくれたホテルの上原社長は、なかなか見る目があるじゃあないか、大したもんだ、と生意気な若造は、感謝したものでした。

しかし、その社長を怒らせた黒川紀章の計画案は見せてくれませんでしたが、きっともの凄かったんだろうなという敗北感は消えません。


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