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2019年05月30日(木)

定額働かせ放題の闇・設計事務所?

とうとう設計事務所が「表舞台」に登場しましたね。裁量労働制・働き方改革です。必ず問題になると思っていましたよ。朝日新聞527日朝刊です。

プランテック総合計画事務所(東京)が取り上げられました。プランテックって、あの建築家O氏の事務所でしょ? あくどく儲け本位で稼いでいる企業ではなく、逆に建築では優れた質の高い作品を作っている評価できる建築家と承知しています。

しかし ▽ 9か月連続で残業が月100時間超 ▽122時間半勤務(休憩2時間) ▽ 帰宅なしで2日間で30時間勤務、という激務が続いたとあります。(その他は略)しかも彼女は建築士の資格を持っていないから、「裁量労働制」は適用しない。

そりゃあアウトですよ。完全にダメですよ。

でも私、驚きません。他にも似たようなところ沢山知っているから。(イヤ、言いませんよ、ご安心下さい。)

話は変わりますが、伊集院静のエッセイが好きで読んでいますが、彼は自宅が仙台にあります。仕事は東京の定宿で書く。東京に来ると昼夜を問わず、ほとんど寝ないで書きまくる。先輩の作家に、「小説家に盆も正月もあるものか。とにかく書いて書いて書きまくれ!」と教えられたそうです。

芸術家はみんなそうなんじゃあないですか? 画家でも音楽家でも。

建築事務所は、それなりの設計料をもらって、その範囲でやれば法律は守れます。

しかし、建築を、単なる建造物(不動産)ではない文化的価値のあるものと考えたり、そこまで大げさに言わなくてもより良いと思うもの、自分が納得できるものを作ろうと思えば、採算と言う尺度が無くなり、法律という基準は見えなくなる。高いところをめざせば、作家が時間も忘れて書いているのと同じ気持ちになってキリが無くなる。

ではどうすればいいのか?

建築事務所を、AとBに分けるのです。

Bは「ビジネス=business」です。そこでは「建物=building」を作ります。法律を守って労働(labor)します。住宅の場合、ほとんどはハウスメーカーになるでしょうね。

Aは「アート=art」でありアトリエであり、そこは芸術家の集団で、労働ではない。芸術活動の仕事(work)をします。そこでは「建築=architecture」を作ります。昼も夜もない。盆も正月もない。小説家と同じです。そこは労働基準監督署の監視外です。労働ではないんだから。

ところで、プランテックは「真摯に受け止める」とコメントしたとあります。そういう言い方って、完全にそこらの企業と同じ対応の仕方ですね。Oさん、貴方の事務所はBになるんですか? 単なる建造物=建物しかできませんよ。

根本的にどうしたら良いか、貴社が先頭に立って考え直すきっかけを作ってください。(PS:一般の方へ・・・建築と建物の違い、architecturebuildingの違い、またwork=仕事とlabor=労働の違い、ご注意ください)


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