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2020年10月05日(月)

東急百貨店 南館

久しぶりに大学時代のクラスメイトT君がメールをくれました。

「渋谷の東急百貨店西館と南館」が壊される。これで坂倉さんが全部なくなる。寂しい」と。

 T君は坂倉準三事務所にかつて勤めていて、彼が最後に担当した作品だというのです。

 東急の現場がはじまって、途中で坂倉さんは入院されて、お亡くなりになったそうです。

 あの南館の特徴となっている5種類の短冊のような窓と壁をランダムに並べたファサードは、黄金比率で作られた短冊で、(意味はよく分かりませんが)「モデュロールの恩恵」だったと書いています。そして、その決まったきっかけを書いてくれました。

 渋谷の新しいランドマークにしようと思ったそうです。

 それで、ハッと気が付いたのですが、最近できた「渋谷ストリーム」の高層ビルのファサードは、姿をあらわした時、足場板が風で飛んできて貼り付いたのかと思いましたが、もしかして、坂倉さんの短冊窓の模様がモティーフで、渋谷の「ランドマーク」と考えて、それをヒントに考えたのかもしれないと思いました。 (最近雑誌を読まないから、そんなことはとっくに書かれているのかもしれませんが・・・)

 ひとさまの設計をとやかく言いませんが、(「飛んできた足場板」は単なる比喩です。悪気はありません)うまい表現が見つからないもんで・・・

 あらためて、T君の担当した南館のファサードをじっくり見ると、品位というか上品な個性を感じます。

 これがもしかして、『コルビュジエぎらい』(自由企画・出版)の本の中でも書きましたが、コルビュジエのいう「モデュロールが建物を『建築』にする」ということか・・・と思います。

 いや、あの「飛んできた足場板」が『建築』になりそこなった単なる建物 だなんて言っているつもりはありません、念のため。

 オイオイ、それにしてももう遅い。本は出版されてしまったので。「モデュロール」のところはもう修正できない・・・

 でも、違うと思います。

 あのファサードに感じられるもの、独特な雰囲気は「モデュロール」に従った結果ではなく「坂倉準三の個性」だと思います。

 (「渋谷ストリーム」の設計者殿:「コルビュジエぎらい」の本、読んでくれた?)


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