2021年01月04日(月)
建築家主役のドラマ
暮れに、建築家が主人公のテレビドラマを観ました。
建築家が主人公の映画やテレビドラマは数多くあります。
最も古いのは、私の学生時代、原田康子の「挽歌」がありました。たぶん建築家が主役の映画はこれが日本では初めて。
この時のスタッフや俳優は凄かった。監督が五所平之助、建築家が森雅之、そして女優は久我美子、
主題歌「挽歌」は芥川也寸志作曲、藤浦洸作詞、唄は越路吹雪、衣装が森英恵
ご存知の方は少ないかもしれないけど、錚錚たるメンバーです。
だから、この時から、社会における建築家のイメージが跳ね上がった、というより、存在が認められた。(この映画を観て建築家になった人は大勢いるでしょう。私? 私は違う。コルビュジエですよ)
「挽歌」はテレビドラマとしても何回かやったようですが、テレビは観ていません。
それから後に、別のドラマですが、たしか木村拓也が主人公をやったのがありますが、これは面白かった。何が面白いかと云うと、実に「考証」がしっかりしていました。
建築家しか知らないような技術的なことや法規的なことが、正確なのです。設計事務所に置いてある模型や道具も、嘘が無いのです。事務所のスタッフたちの行動にもウソが無い。
一説によると、あの宮脇檀さんが「モデル」、つまり徹底的にチェック(考証)されたとか。
ところで暮れのドラマ。悪いけど・・・
まあ、演技は、たまたま数日前に「万引き家族」(古いね)を見ていたので・・・あまりの落差に・・・
で、建築家の行動も、事務所の中も、小道具、模型 全部・・・なんというか・・・
それからドラマで出てくる、自分の作品が掲載されている本、たしか「建築作品100選」だったか、とにかく「○○100選」という雑誌(本) がいただけない。そこに掲載されていることが、一生の宝のように、ステータスになっている。そんなこと無いんですよ。あれは、よく金をとって載せてやるという本(雑誌)、宣伝のための本です。金を払うと出してくれる業界の本によくあるタイプの本です。実力が保証されて厳選されて掲載される本じゃあないんです。建築家ならほぼ全員知っているでしょう。だからそこに掲載されていることを自慢されても・・・建築家のレベルがわかる。
そもそも話の中心になる別荘がいけない。どうもセットではなく、実物を借りたようです。どなたが設計した建物か知りませんが・・・
これは私が建築の専門家だからこだわっているのではありません。
たまたま建築の専門家だから「考証」出来るので、分かってしまうのですが、これでドラマ全体のレベルが推し量れると思うのです。
よく内容の良いドラマで、歴史モノをやるときなど、一流の歴史学者を「考証」につけます。その姿勢が必要なのです。それは内容にも関わるからです。演技にも関わります。(是枝監督、凄かったなあ・・・)
「素人にそんな専門的なことは分からないし、違っていても、内容が問題だよ」、と言われる方がいらっしゃるかもしれません。 そうおっしゃる方、さようなら。