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2021年01月19日(火)

試験監督

 もう40年以上前のことです。大学の入学試験の監督をやっている時このこと。

 その会場の監督は4人で、私はその会場の責任者でした。

 どうも態度が気になる受験生がいました。

 監督を経験したことがある方は分かると思いますが、受験生が何百人いても、入学試験の会場では「挙動不審」の受験生は、上から見ているとすぐ分かるものなのです。

 わざと目をそらして注意していると、「カンニングペーパー」をそっと見ているのです。

 試験監督というものは、カンニングを見つけて捕まえることが目的ではありません。カンニングをさせないことが目的だと思います。それを他の監督にも知らせて、それとなく、その学生に注意するように指示しました。

 3人の監督は、それとなく近づいて、「見ているんだぞ」という注意のサインを送りました。

 ところがその受験生は、こちらの注意と配慮が通じないのか、うまく見つかっていないと思うのか、だんだん大胆になります。カンニング(カンニングペーパーを見て答案に写し取る)行為が次第にあきらかになります。

 私は受験生のところに行って、肩に手をやって、目で「止せよ」と合図を送りました。その時はペーパーを隠しています。「なんのこと?」と言う顔をしています。

 しばらくすると、若い監督が「机の上に出していたので・・・」と、とうとうカンニングペーパーを取り上げてきました。

 「周囲の学生も気づき始めていたようなので・・・」と言います。

 しかし会場には、何も気づかれづに、試験は終りました。

 答案を回収し、その学生のところに「証拠品」を持って行って「これ、貴方のですね?」と聞くと「知りません!」と言います。

 「試験本部まで一緒に来てくれませんか?」と、本人と、ペーパーを取り上げた若い監督と本部に行って、報告しました。

 すると、受験生は突然胡坐を組んで床に座り込みます。抗議のつもりでしょう。異様な光景です。

 本部の担当者に事情を説明すると「分かりました、こちらにお任せ下さい」というので、そこを立ち去って、それとなく見ていると、本部のひとは何も聞かずになだめる様に、受験生を帰らせました。

 一緒にいた若い監督は、あっけにとられたようで、憤懣やるかたないという感じなので、彼に言いました。

 「大丈夫です。彼はうちの大学には入れませんから。」(どうするかは分かるでしょ?)

 試験担当の教務課から聞いたことがあるのです。入試はもめないで解決しなければダメ、と。

 今度の「共通テスト」のマスクの話・・・つい昔を思い出したもので・・・

 


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