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2021年09月18日(土)

カンツォーネと川柳

 高校の後輩東君はたぶん10歳くらい下ですが、早稲田の何かのパーティーの席で、近づいてきて「吉田さん、僕は高校の後輩ですが、吉田さんが設計した妙高高原の合宿施設に泊まって、建築家になろうと決めました。」と云うじゃあないですか。

 私が会社を辞めて、初めて設計した100人泊まれる母校の妙高高原の寮です。

 そこに泊まって、あの空間を経験して、建築家を志したか・・・と。こんな嬉しかったことはありません。忘れられない感激です。

 それ以来、早稲田でも後輩なので、なにかにつけて出会うことがありましたが、彼は歌が上手い。なにかあるたびに歌を披露していました。カンツォーネです。

どうも私は歌の上手い奴に縁があるようで、もう一人、世界の街角で歌を唄って、最後は国連に招かれて、国連の大ホールで唄った「すがわらやすのり」君というやはり早稲田の後輩がいます。

 ところが私の周りには、またそういう歌の嫌いな人もいて、あるパーティーですがわら君が歌いだしたら、一緒にいた内藤廣さんが、「けしからん!こんなところで」と急に怒りだしたことがありました。

 そもそも私の恩師は、小田和正さんが建築と決別して歌手になろうとしたとき、修士論文を怒って通さなかったと聞いています。 

 で、東君のカンツォーネも1回だけ聞いたことがありますが、「こりゃあダメだ」と思いました。何がダメか? 建築がです。

 そういえば、丹下研究室にフルートのとても上手い人が居て、何かのパーティーで吹いたそうです。 みんなは「プロ級だ」と言って感激したそうです。

 そうしたら丹下さんが一言「あんなに上手くっちゃ、良い建築家にはなれないね」

 東君はまた「宇宙川柳」といってヘンな趣味があって、毎月何十首と作って頼みもしないのにメールしてきました。 

 カンツォーネと川柳はどうも・・・そういえば、彼の建築作品を見たことがありません。

 しばらくぶりに昨日川柳のメールが来ました。いつもはろくに見ないで捨てるのですが、ふと気になって、何句か拾ってみました。

 「カンツォーネ歌い終わってカラス鳴き」・・・いいねえ、分かってるじゃん。

 「笑いこそ 我の最後の砦なり」・・・そうだったのか・・・

 終わりに、女性の名前(奥様でしょう)で「家元(東君のこと)は2021年5月永眠いたしました」  エッ!!?? 絶句・・・

 それならもう一句

 「人生は 冥土の前のひまつぶし」・・・そういうことでもないだろう、気取るなよ。

 忘れもしない感激を、くれた後輩先に逝く・・・・・・もう少し待っててくれ! 合掌

 


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