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2021年10月07日(木)

白いマイクを床に置く

ロビーに大勢の人が出て、そこに一人のオジサンが歩いてきました。

拍手が起こると照れくさそうにお辞儀をしていたら、女性が花束を手渡しました。拍手が一層大きくなって、オジサンは何度もお辞儀をしながら出て行きました。心なしか嬉しくなさそうで、作り笑いに見えて・・・

 一昨日、スガさんが官邸を去りました。

 思い出します。

 茅ヶ崎市役所のロビーで、役所に入ったばかりの O君と5時に約束して待っていたら、5時のチャイムと同時に、カウンターの中の人が一斉に立ち上がってロビーに集まります。見ていると上の階からも続々と集まって来ます。

 扉まで中央に道があけられています。

 そうしたら、そこに初老の男性が拍手とともに入ってきて、花束を受け取りました。

 初老の男は、嬉しそうに、とても晴れやかな顔をして、道があけてあるところを歩いて、拍手を浴びながら出て行きました。

 最後に、扉で振り向いて、もう一度お辞儀をして、幸せそうな表情で出て行きました。

 職員たちが、サッといなくなったところに、O君が来ました。

「何? これ」

「定年退職ですよ。みんな こうするんです」

「ふーん、真ん中に空けてあったのが 花道か」

 O君! あれから40年だな。  来年と言ってたな。君があの「花道」を歩くんだ。

 拍手を贈るよ。

君ならさぞ嬉しそうに花束をもらうだろう。いいね・・・それで良いんだ。

たまたま一昨日は、40年前

山口百恵が引退した日でした。

 武道館で。白いマイクをステージの床に置きましたね。

 みんな「最後」は一度しか来ません。 

 O君! 笑えよ! 今度会ったら、何を床に置いたか聞かせてくれ。


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