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2012年11月15日(木)

突然の客

夜7時頃、ブザーを鳴らして客が来ました。最近この辺はドロボーが出るようで、警察がしょっちゅうパトロールしていて気持ちが悪いので、注意して扉を半開きにすると、見知らぬ中年の男性が立っています。「こちら建築事務所ですね?」ホームページを見て来た、ちょっと聞きたいことがあると言います。そして新築の相談と言うので、では、仕事場の方に上がってくださいと言うと、イエ、ここで良いんです、ちょっと教えてもらえばそれでいいと言いますが、ホームページで来た客は初めて。とにかく上(仕事場)で話しましょうと無理やり引き入れました。話の内容は簡単に言うと、大分の田舎に帰って暮らしたいので家を建てたい。弟が大工をやっていて、自分の山で樹を切って柱を作る、その柱を何本作ればいいか、間取りを決めろと言うので、その間取りを作ってくれないかということでした。二人で暮らすから3,40坪で良い。設計を頼むと幾らか?と聞くので、うちは総工費の10%と答えると、驚き、がっかりしています。「総工費は幾ら予定していますか?」「1,000万くらいで」「?工事費ですよ」「1,200万は無理かな」「で設計料はどのくらいと思っていらっしゃったんですか?」「30万くらいで出来ると思って」というような会話をしました。あちらの思っていたことは、間取り(だけ)を考えてくれて、図面を全部で2,3枚描いて、申請は弟の知り合いの二級建築士がやる。だから30万ならやってもらえると思った。こちらは一般的な話を丁寧に説明して、突然の客は30分くらいで「女房と相談してくる」と帰りました。実はその日「全国学生住宅コンペ」の審査で10時から5時過ぎまでやって、疲れ果てて帰ったところの来訪で、コンペの講評会のしめくくりの最後に「住宅をやっていてはダメだ!」とつい最近思い悩んでいることを口走ってしまいました。あわてて一緒に審査をされたみかんぐみの加茂さんと「箱」の葛西潔さんが「住宅はいいものです、決して捨てないように」と否定してくれて、落ち込んでいたところだったので、このやり場のない気持ちをもう一度学生に叫びたくなりました。「入選してここに呼ばれた優秀な学生諸君!住宅でメシを喰う建築家を目指すな!」と。


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