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強引に直談判した話

wo_01_22.jpg私の処女作の話です。高田市の建築指導課から「形が悪いから通すわけにはいかないと、国立公園課から戻されました」と電話がありました。国立公園の中に建築する場合、まず「国立公園課」に図面を出して審査が通らないと確認申請を受け付けてくれません。そこでは形や色が審査されます。箱根に出したときも「丸いカーブの屋根はダメだ」というので「だって有名な村野藤吾氏のプリンスホテルはカーブの屋根じゃあないですか!」と言うと「あれは困ったものです」と言って話しになりません。しかし高田市に出したものは、少なくとも「違反項目」には無く、ただ課の人が「形が悪い」と判断するだけで落とされるのです。出しに行った時も、サンダル履きの、らくだ色のカーディガン、趣味の悪い柄物のシャツを着たオッサンで、こんなオッサンに形の審査をされたくないもんだと思いましたがだ、まんまと落とされてしまいました。私は「こんなところ相手にするか!」と、霞ヶ関の本庁を訪ねました。「公園課」は(昔の)厚生省の管轄だから、いきなり本庁に乗り込んだのです。今ではありえないかも知れませんが、課長が会ってくれました。図面と模型を前に談判を始めました。一般を受け付けるところではないので、異様な光景だったのでしょう、周りの人は何が始まったかと気にしているようでした。一通り説明を聞いてくれた課長は「君、どこの大学?」「早稲田です」「吉阪隆正君は私の同級生だ」「私は吉阪先生を尊敬しています」ということで、なんとなく話が回り始めました。この人、根っからの建築好きだなと思いました。少し話をした後「分かった。通すから条件を聞きなさい」と言って、周囲に13メートル以上になる木を植えて、建物を隠すようにと言われました。私は立面図に一生懸命樹を描き入れました。平面図にも描きました。そして実際に周囲を囲むように苗木を植えました。後で知ったのですが、この時の課長は「大井さん」といって、箱根などに遊歩道を計画したえらいひとと聞きました。私のスタートは運がついていました。ちなみに、図面どおりに植えた樹は、初めの冬の雪でつぶれてみんな枯れてしまいました。


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