2018年12月08日(土)
仕事の思い出ー3
昔、国立公園の中に別荘を設計しました。
地元の建築課に確認申請を出すと、まず地元の厚生省(当時)の公園課に回されて審査されます。
その地元の公園課から電話があって、形が奇抜だから、通すわけにはいかないと言います。
「だって、箱根の乙女峠に黒川記章さんが宇宙船のような奇抜なドライブインを建てているじゃあないですか!」
「あ、あの方は別です」
「はあ!???」
こんなド地方の役所なんか当てにするもんかと、霞が関の本庁の公園課(?)に模型をもって談判に行くことにしました。どうして会えたか忘れましたが、課長に会うことができました。一般の受付をするところではないので、みんなの不審そうな視線を感じて課長と話しました。
一通り説明すると
「大学はどこ?」
___ 関係ねえだろ、と思いましたが
「早稲田です」
「吉阪先生を知ってる?」
「はい、尊敬している大好きな先生です」
「私と同級生だよ」
「・・・・・」
「うん、分かった。係りの方には私から連絡しておくから、そのかわり、建物の周囲に背が高くなる木を植えて建物が隠れるように計画すること、いいね」
「はい…有難うございました」
後に知ったのですが、この方は大井さんという、箱根の山に遊歩道を計画された有名な方でした。
私は樹種を調べて、立面図に描きこみ、実際にも木の苗を植えました。
しかし初めの冬の雪でみな折れて無くなってしまいました。
若い建築家の諸君、世の中、決してフェアじゃあないからね!