2020年06月02日(火)
アメリカの黒人差別
アメリカで黒人差別に対する抗議デモが起きています。
騒いでいる群衆を見ると、白人が大勢混ざっているようです。ちょっと不思議です。
勿論話では、白人も黒人も幼いころから仲良く暮らして、決して差別などしない国という認識は人並みに持っていますが、4,5回しかアメリカには行ったことがありませんが、そのわずかな経験ですが、「こんなに人種差別をする国は無い」と思うようになった経験をしています。
一人でレストランに入ると、白人は一人でも真ん中の方に席をとってくれるのに、私はいつも端の隅っこです。高級なレストランほど露骨です。勿論スーツも着て、ネクタイもしめて行きますが、中央の席は白人が一人でも座ります。見ているとどうも有色人種は端のようです。
だからレストランに一人で入るのが嫌になって、一人の時は寿司屋にばかり行っていました。アメリカは大抵の街に寿司屋はあるのです。ピッツバーグの街に寿司屋があったのには驚きました。マグロもみる貝もたいへんおいしいです。
こんな経験もしました。
ニューヨークから3,40分のところに一人で行って、帰りにバス停で待っていました。
どうも路線が何本もあって、並んでいるところに自信が無かったので、すぐ後ろにいる黒人の青年に聞きました。丁寧な言い方で…
すると横にいる白人の老婦人に「なんて人に聞くの! こんな人に聞くもんじゃあないわよ!」 といかにも私を非難するような雰囲気を感じます。そして周りの人も、「バカねえ、こんな人に聞いて・・・」という目で私を見るのです。
聞かれた黒人の青年も驚いたようで、「オレに聞いて良いのかよ?」という感じをして、「うん」と短く答えました。青年と白人の間に見えない鉄のカーテンを感じました。
バスが来て、その青年も乗りました。
ニューヨークに近づいたころその青年が降りようとしました。
ところがコインが3セント足りないようなのです。彼はあわてて紙幣を出しましたが、運転手はNO!と云ったきり知らん顔をしています。運転手は白人でした。周りの客も見て見ないふり、というより「私は関わりたくないわよ、こんな人に」という、あきらかに独特の雰囲気を感じます。どうしようもない黒い空気が流れます。
私は一番近いところに立っていましたが、コインは3、4セントしか無い。つまり紙幣の両替はできない。
しかし、とっさに3セント出して、「良いよ!持っていけよ」とジェスチャーで青年に押し付けました。「この紙幣崩れないかな・・・」という精いっぱいの礼儀を示して、申し訳なさそう、そして嬉しそうに去っていきました。
「それって考えすぎだよ」と言われるかも知れません。その青年が白人でも不良っぽいヤンキーだったら、老婦人は無視するよと、あなたは言われるかもしれません。
高級レストランの席もパリの「トゥールダルジャン」も、予約の時にアジア系の客は二組以上重ならないようにするとか聞きました。そして当然中央には座れない。3回とも端でした。だからアメリカだけじゃあないよ、と言われるかもしれません。
良いんです。あなたがそう感じないのなら、フランスとの違いが分からないのなら、それで良いんです。
アメリカの人種差別は、そういう問題なのだと思います。