2020年07月04日(土)
オンライン授業
大学にもよるようですが、オンライン授業が定着してきているようです。
実際にどうやるのか知りませんが、聞くところによると、授業の内容や配信資料をあらかじめ提出しておく、らしいのです。
ゾッとします。
実は私が定年で辞めるころ、その少し前から「シラバス」といって、その学期に行う授業、半年分の内容を教務課に提出するようになりました。
あれには参りました。
私のように、授業の前日、建築雑誌を引っ張り出したりして、建築の潮流を読んだり、話題の作品を見たりして、明日は何をしゃべろうかと考えるような者には、半年分の予定を作ることなど、不可能。出してもそのままやらない。
設計の授業の課題だって、半年の間には、凄い作品が発表されて、学生も関心をもつ。そこにぶつけて課題も考える。
妹島和世さんをお呼びした時も、ご自分が仕事で設計中の建築を学生にもやらせてみる。だから、まるで事務所でスタッフと打ち合わせているように熱が入る。
私の学生時代の授業も、たとえば吉阪隆正先生は、数日前にマッキンレーの登頂から帰られて、その土産話をされます。しょっちゅう海外旅行で休講が多かったですが、その思い出話を話される。面白かった。世界に触れました。心に残っています。
今井兼次先生も、ちょうど「長崎の二十六聖人記念聖堂」をやっていらっしゃる時で、この先生も現場監理で休講が多かったけれど、設計や工事の苦労話がじかに聞ける。建築は知識ではないことを学びました。
「シラバス」なんかがあったら、あんな話は聞けない。授業の内容を教務課に出したら、問題にされたかもしれない。
「オンライン」授業だったら、時間もきちんと守らなければならないし、脱線も休講も許されないでしょう。 私は良い時、辞めました・・・