2021年03月28日(日)
議事堂の演壇についたスロープ
国会議事堂の議場の演壇に斜路(スロープ)が付いたとか。
投票の際に、車いすの議員が、直接札を持って行けるようになった。そして係に直接手渡した時、拍手が起こったとか・・・
それを読んで「名護市庁舎」のコンペを思い出しました。 1979年に行われた沖縄名護市庁舎の設計コンペです。
設計条件に「3階建てにすること」とありました。
但しエレベーターは設けない。空調も議場だけで、全面的なエアコンは無し。
そして、「市民の窓口部門は一階で、議会の議場は3階にすること」が条件でした。
エレベーターを付けてはいけない? エアコンも無し?
当時、身障者に対する配慮が、社会的に取り上げられるようになっていました。
だから当然、質疑応答で「エレベーターを付けてはダメか?」というような質問が数多く寄せられました。
しかし解答は「要項のとおり」と、河野太郎君の記者会見のようにつれない返事をくり返すのみ。
どうも主催者の言い分は、沖縄の特異な自然環境や独特な風土と文化を守り大切にしたい、ということのようです。
私も応募しました。
しかし私は逆に 沖縄らしさを「売り物」にするようなことは避けるべきだ、と思いました。
そこに働く事務員は、沖縄の暑さの中で、冷房も使わずに働かせるのか? 3階の議場に傍聴に行く市民は、身障者の場合、3階まで車いすで登らせるつもりか?
従って、要項を無視して、議場は2階にして、車いすの斜路(スロープ)を出来るだけ短くしました。 エアコンも全館に付けました。
審査結果が発表されて、一等案を見たとたん、めまいがするくらいビックリ仰天。こんな面白い案、生まれて初めて見た、お見事! 私の案は、議場を2階にもってきたり、全館空調にして「要項」を無視したから落ちたのではない。こんな案と比較されたら、落ちるのは当たり前、と納得しました。
外観や、屋上の使い方は沖縄そのもの。日常の夕涼みやお祭りのことまで考えている。それが独特な形になっている。
「沖縄」を建築にしたらこういう建築になるという見本。
上部に上がるスロープは3階まで象徴的に付いています。空調は無いけれど、室内に「風の道」という、コンクリートの四角い筒を巡らせて、海風が室内に吹き込んで、それも沖縄らしいのしょう。この案の一つの「売り」でした。
30年くらいは経ったでしょうか・・数年前に機会があって、「名護市庁舎」に行ってきました。
アレッ‼ エレベーターが付いている。
アレッ! 「風の道」・・ うまく「涼風」が入らないのか、ベニヤで塞がれてエアコンが付いている。
だから建築って面白いのです。
そうそう、本題を忘れてた。演壇にスロープなんかつけて、苦労して上がらせないで、何故簡単な車椅子用のリフトをつけないのか? それより、議員全員自分の席からボタンで投票させないのか?
全員が木札をもって演壇に上がって渡す。それって何ですか? 木札を持った車椅子の議員が手渡して、拍手している場合じゃあないでしょ・・・