2022年06月04日(土)
今 なぜ吉阪隆正?
今、吉阪隆正先生の人気が上昇中とか・・・
若い人に 何故? と聞いても「さあ???」
先日朝日君が、大西若人氏の名前で「今 なぜ吉阪隆正?」という記事が出ていましたね。読んだけど、さあ・・・??
吉阪先生は数々の名言を残されていて、その「ことば」はどれも分かりやすい。
その1: 団体旅行をした時、3分遅刻した学生に、「100人を3分待たせれば、5時間
の損失だぞ!」
その2: インドの城で、下で芸をする乞食に上からコインを投げていたら「お金はひと
に投げて渡すものじゃあない!!」と怒鳴られた。驚いたのは下の乞食でしょう。
その3: 友人が子供を連れて先生のお宅に遊びに行ったら、子供が先生のご子息と本の
取り合いになって離さない。すると先生はその本を真っ二つに割いて二人に与
えたそうです。
その4: 私が先生に「ビラ・クーペ」を見ていただいた時「あそこが問題だね」と言わ
れるので「そうなんです、あそこから雨が漏りまして・・・」「雨漏りは問題
じゃあない!!」 (私の座右の銘にしています)
その他: キリがありません。
ところで今、気が向いたので、東海大学の「年報」に投稿しようと原稿を書いています。、
黒川紀章さんの「中銀カプセルタワービル」が解体されるので、そのことを取り上げて「メタボリズム」について、他の分野の先生方にも分かるように書こうと努力していますが、難しいことこの上ない・・・
「メタボリズム・グループ」ができた時、「METABORISM/1960」という出版物が出されて、その冒頭にこう書かれています。分かりますか?
「われわれは、人間社会を、原子から大星雲にいたる宇宙の生成発展する一過程と考えているが、とくにメタボリズム(新陳代謝)という生物学上の用語を用いるのは、デザインや技術を、人間の生命力の外延と考えるからに他ならない。従ってわれわれは、歴史の新陳代謝を、自然に受け入れるのではなく、積極的に促進させようとするものである」
分かりましたか?
私は2回読んでもチンプンカンプン。
昔、吉阪先生に、「2回読まなきゃ理解できなくて・・・」と言ったら、「2回読まなきゃ分からない文章は、書く方が悪い」とこともなげにおっしゃったのを強烈に憶えています。
先生は書かれることやおっしゃることは実に分かりやすい。しかし先生の建築は人間「吉阪隆正」そのもので、解説できないほど魅力があるんです。ほんとうの魅力というものは文章では書けません(若い人のコトバで「やばい!」「かわいい!」ですかね??) それに反して、丹下さんや黒川さんは、言うことは難しいけど、建築は解説できる。文章で表現できます。
それが「今 なぜ吉阪隆正?」の私見です。