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2022年12月24日(土)

坂茂さん! 目を覚ましてください

 どこかの公衆便所が、ガラスでできていて、普段は透明ですが、人が入ってスイッチを入れると不透明になって、用を足しているところが見えなくなる。終って出ると、また透明になる。

 なんと悪趣味なことを考える人だろうと思いました。しかも金がかかるはず。 

 とんでもない人がいるもんだと、無視していました。

 そうしたらそれが故障したらしく、入っても不透明にならない。

 そして記事を読んでみたら、それを作った建築家が坂茂さんと書いてある。身体中の血が引けるほど驚きましたね。

 そしてこれまでの尊敬の念をもった高い評価が、一瞬にして消えていくのです。悲しすぎませんか?

 あの坂さんですよ! 紙管の坂さんです。 

 初めに紙管を使ったのは、展示場の展示装置、それの片づけやすさ・運びやすさ・組み立てやすさを考えての発想だったと聞いたことを憶えています。

 それからの御活躍はみんなもよく知っていると思います。

 あるときテレビで避難民の報道を見ていた坂さんが、すっくと立ちあがって「何とかしなければ」と叫んだそうです。奥さまから聞きました。そしてアフリカに行って、被災地で寝るところもない避難民に、紙管でテントを組み立てる行動を起こす。その交渉のために国連に行って交渉もした。

 関西の大震災の時に焼けて無くなった教会を紙でつくって、報道もされていましたね。とにかく紙で早く安くつくる。その発想は凡人ではありません。

 鉄やコンクリートではなく木でもない。軽くて安い紙です。しかしその強度は意外に強く、構造で有名な松井源吾先生も認めていた。(松井先生の葬式の時、大学関係とは縁のない坂さんがひとり呆然と立っていたのが、目に残っています。最大の構造の援助者だったに違いない)

 その坂さんがですよ、何故、ガラスで便所を作るのですか? しかも透明にしたり不透明にしたり、安くはないでしょう。金の問題ではありませんが、意味が分からない。もしかして、その技術を持った会社の寄付だったとしても、坂さん、ご自分の精神と合わないと拒否して欲しかった。いずれにしても坂さん! 初心にかえってほしい。べつに紙から離れても、精神は捨てないでほしいと思いますが・・・


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