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2023年01月17日(火)

黒川紀章氏の「カプセルハウスK」と ヴィラ・クーペ

個人的なことで恐縮ですが(いつもじゃないか!)、私のデビュー作は1971年に発表した「ヴィラ・クーペ」という別荘です。

 この建築を私に依頼された上原さんは、妙高高原でホテルを経営し、その辺一帯の別荘地開発をしておられました。69年頃だったか、私が妙高高原に設計した学校の寮の竣工式に来られて、「とても気に入ったから、別荘地のモデルハウスとなる別荘を作ってくれないか?」と言われました。そして「実は黒川紀章さんに頼んだんだけど、自分の作品を作ろうとして、設計でアソバレタので、お断りした」とおっしゃいました。

 その辺の詳しい話は拙著「コルビュジエぎらい」(ウェイド出版¥1,000)に書いてありますが、そういう経緯で「ヴィラ・クーペ」は出来ました。

 黒川さんの設計がどんなものか、図面は見せてもらっていません。意地もあるし、礼儀でもあるし、聞いたことがありません。ただ一度だけ、カプセルと 窓が丸い、ということを言われたのが印象に残っていました。50年前の話です。

 1960年、菊竹清訓氏や黒川氏が「メタボリズム」ムーブメントを起こしてから、黒川さんはカプセルと盛んに取り組まれて作っていました。例の「中銀カプセルタワービル」が72年です。

 ところで、この度 「TOTO通信」今月号(新春号)で、「名住宅に泊まって学ぶ」という特集をしていて、その表紙に、黒川紀章さんの「カプセルハウスK」が出ているじゃあないですか。

 これです。間違いなくこれです。

 調べてみると、1973年にご自分の別荘としてお建てになったらしい。推測ですが、上原氏に「アソバレタ」と断わられたので、意地でも自分で建てた、そうに決まっています。あの頃、飛ぶ鳥も落とす勢いだったから、黙って引っ込むはずがない。あり得ます。この別荘が建たずに私のヴィラ・クーペが建った。絶対に間違いありません。

 感慨深いですねえ・・・ 文句なく建築が面白い時代だった!


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