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2023年01月18日(水)

黒川紀章氏のカプセルハウスK 追記

施主から「遊んでいる」と言われて設計を断わられた別荘を、黒川氏は(アタマにきたのでしょうか)実際に自分で建てたという話を前回のコラムで書きましたが、それが出ている「TOTO通信」(新春号)をよく見たら、最後に小さく「1973年の竣工当時の様子」として7センチ角の全景写真が出ていました。見ると「撮影 / 大橋富夫」と書いてある。これは 懐かしい・・・! 

 実は「ヴィラ・クーペ」も大橋さんに撮ってもらいました。

 彼はまだ有名ではなく「建築文化」誌に掲載するために、妙高高原まで撮りに行ってもらったのです。

 当時は関越道の高速道路が無く、私のパブリカ700ccで半日かかって行きました。

 リンホフを小脇に抱えて、電信柱に登って撮ってくれました。そは見事な写真で、おかげでフランスの有名雑誌から掲載依頼があって、私のデビュー作品となりました、大橋さんのおかげです。その大橋さんは、黒川さんの別荘も撮影した話は、(施主に断わられた経緯を知らないので)その後もなさいませんでした。今ごろ草葉の陰で「ヘー そうだったの」と笑っていることでしょう。

 大橋さんと言えば、「ヴィラ・クーペ」で、妙高の大高原 の中にポツンと顔を出している写真があります。これも大橋さんが遠くから、木に登って撮った写真で、なかなかこういう光景は見られません。

 ところが、その頃始まったばかりの「新建築」誌の「月評」で、長谷川堯氏(長谷川博己さんの父上)が、その写真を見て、自然を破壊する目立ちたがり屋の愚作と酷評しました。

 それで直後にお会いしたので、初対面ですが、「貴方は行って観たのか? ああいう光景は普通のところからは見えない、あれは写真家の創作ですよ。建築写真は報道写真じゃあないんだから。現物を見ないで建築の評をするのはお止めになった方が良い。実際に行って観たら、木々に隠れて目立ちません」と噛みつきました。しかし長谷川さんもなかなかで、私の言うことを認めて、その後もどういうわけかお付き合いするようになりました。

 建築写真はただの実物を写すだけの写真ではありません。

 ちょうどTOTO通信の同じ号で、藤塚光政さんが前川国男の設計した建築の写真を撮っていらっしゃいます。建築写真家の数少ない鬼才の一人です。TOTOさんもやりますね・・・ 

 建築の見学会で、スマホで撮っている輩が、可哀そうに思います。


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