2023年01月27日(金)
朝日新聞「語る」来週から原広司さん
「朝日君」の中にも時々面白い記事があって、文化欄の「語る」が、人によってまことに面白い。今日まで池畑慎之介(ピーター)で、とても面白く読みましたが、来週から原広司さんをやると予告が出ていました。楽しみですが、先回りをして2,3思い出を。
はじめてお会いしたのは、多摩美術大学の廊下です。
私が竹中を辞めて、大学に戻ったら、しばらくして多摩美で「建築デザイン概論」の非常勤講師をやらないかと話があって、「いいですねえ」と無責任男らしく即答。
1年くらいやっていたら、どうも学内がおかしい。「理事長が授業に口を出している」という噂を聞くようになりました。ある日、原さんとは同じ日だったようで、会えば黙礼をするくらいでしたが、廊下で、「吉田さん、私クビになりましたよ」と挨拶されました。
どうも理事長に直接抗議と言うか説教と言うか、とにかく「理事長は授業に口を出すな」と直接言ったらしいのです。で、即刻クビ。
本来大学と言うものは、最高決定機関は教授会です。それを理事長の権限だけでクビを切るとは、異常なことで、あり得ない。それをまた、原さんも直接言うとは凄い方だと,それが第一印象です。次の週から姿を見なくなりました。
もう一つの印象は、昔「建築」という人気の雑誌があって、そこで、その号のトップ記事をめぐって、その建築家を呼んでシンポジュウム?講演会をしていました。
原広司さんが「有孔体理論」という理論をぶち上げて、何とかいう幼稚園を作られて、それをめぐってシンポジュウムが開かれました。
その司会をどういうわけか、雑誌社から頼まれて、私がしていました。
原さんの理論(文章)は、難しい。磯崎さんの理論も難しいけど、さすが弟分だけあって、更に難しい。さすがに東大コンプレックスになる。
その号も読んできたし、他の論文も読んでいますが、分かっていない。
そうしたら、一通りというか途中だったと記憶しますが、一人の若者が「ハーイ」と手を挙げて喋りだしました。要するにその話、つまらないというのです。
何と言うことを言うんだ!? とあっけにとられて、司会者どうしていいか分からない。
原さんは平然と吹っ掛けられた議論に答えて、たじろがないし怒らない。その若い奴に諭すように、自論を展開なさる。もう司会者、まとめようもなく失格でした。
ちなみに、そのひと、後に建築界に名前が出て騒ぎを起こす若い頃の 石井和紘さん。